USNH見学&Joint Conference参加報告(前編)

2月11日水曜日、横須賀米海軍病院(以下USNH)で行われた日米合同カンファレンスに参加するとともに、USNH内を見学させていただきました。今回の日米看護合同カンファレンスはUSNH初の試みであり、横須賀米海軍病院(以下USNH)で働く看護師さん達の企画で実現したそうです。JSPACには、米国麻酔看護師協会(AANA)の役員、IFNA会長のJackie Rowles氏を通じ、USNHでCRNAとして活動するケイス中佐と合同カンファレンスについてご紹介いただきました。

 遠方から参加することになったメンバー2名は、早朝便で羽田に到着。そのまま横須賀に移動しました。予定の集合時間よりかなり早く到着したため、急遽浦賀まで足をのばすことに。驚くほど良いお天気に恵まれ、ぽかぽか陽気のなか浦賀の港町を散策しながら、「ここがペリー提督率いる黒船4隻が現れ、吉田松蔭が密航を試みた場所なんだなぁ…」と、歴史の一部に思いを馳せつつ、ペリー記念館で「ペリーカレー」と「黒船シチュー」を購入して再び横須賀中央駅に戻りました。【写真1~5】

同カンファレンスに参加する前に、JSPAC会員の有志とともに横須賀米海軍基地と病院(以下USNH)を見学させていただきました【写真6、7】。当日は横須賀米軍基地内でも祝日体制であり、両国の国旗が掲揚されていましたがUSNHは通常業務とのことでした。当初は定例手術の見学を行う予定だったのですが急遽手術がキャンセルになったため、Certified Registered Nurse Anesthetist (CRNA)であるKase中佐の運転で基地内のツアーを行いました。

 基地内はさしずめ一つの町…といった感じで、住居、病院はもちろん、小学校・中学校・高校などの教育施設、娯楽施設、フィットネス・ジムやフットボール場なども完備されていました。横須賀港にはジョージ・ワシントン号が停泊している他、滅多に立ち入ることができない場所も見学できました。海軍隊員には年に2回の健康診断が義務付けられており、健康上の問題が見つかった場合は退役しないといけない規則があるそうで、フィットネス・ジムの存在は重要であり、新たに2棟新設されたとの事でした。

地内ツアーの後、USNH内の見学を行いました。USNHでは、産科病棟と手術室を見学しました【写真8】。産科病棟は3階にあり、今回のカンファレンスの企画と我々のコーディネーションをしていただいたRieさんがCNMとして活躍しているそうです。

 病床数は、分娩室とは別にあるトリアージ3室と回復室8床であり、入院が必要な場合は他病棟と共有しているとのことでした。病棟のナースステーションの前には新生児用のセントラルモニターがあり、異常の早期発見につなげているそうです。

 また、90%を超える妊産婦が「無痛分娩」を希望するため、麻酔科医とCRNAがOn Call体制で対応しており、麻酔科医もCRNAも全く同じ麻酔提供を行うとのことでした。麻酔科専用のカートも準備されており、中の物品も見せていただきました。カートはIDパスワードを入力しないと解錠できないものであり、さすがアメリカだなぁ…と思わずにはいられませんでした【写真9】。

 産科病棟を見学したのち、手術場見学に移動しました。

術場と麻酔科は4階にあり、5部屋の手術室以外、術後管理を行うリカバリー室がありました。リカバリー室には常時2名の看護師が常駐しているとのことでした。今回お世話になったケイス中佐は、手術部門の管理者でもあります。

 そして見学者はガウンを装着し、手術室へ。手術室は機能的に物品・機器が配置されていました【写真10、11】。ここでも例の物品カートが。「忙しい時や緊急事態で面倒ではないか?」と質問すると、「一定時間は解錠できその後自動的にロックされるので、問題ない」とのことでした。また、引き出しを出しっぱなしにしておくと警報が鳴り、これまた自動でロックされる、とのことでした。

 手術室のボードには、「TIME OUT」と書かれたチェックリストが掲示してあり、WHOのチェックリストと共に実施されているとのことでした【写真12】。

 また、予定表には手術担当者とともに見慣れない職種の名前がありました【写真13】。Surgical Tech、Anesthesia Techは、USNH内ではCorpsman=コープスマンと呼ばれ、日本で相当するのは看護助手に当たります。Corpsmanは看護師の指示の下で様々な業務を実践する職種であり、看護業務ができない日本の看護助手とは業務内容が明らかに異なります。例にあげると、麻酔担当のCorpsmanであれば、麻酔導入前の点滴ラインの充填などの業務を担当するなど、日本では看護師資格がなければできない行為も彼らの業務にあたります。

 最後には、小児用の麻酔カートを見せていただきました。こどもの大きさ(身長)に対応した蛇腹式の色別カードがあり、そのカードとこどものサイズを合わせると、その子にあった色がわかり、同じ色のカートの引き出しの中に適切な麻酔用物品や薬剤が入っているとのことでした。同行した麻酔科医の先生も、大変画期的かつ合理的で、わかりやすい仕組みであると感心しておられました【写真14】。

の後、ケイス中佐とJSPAC参加者9名でディスカッションを行いました。なんと病院院長室の隣の会議室で行われ、開始直後には直接病院長であるクラフォード大佐から歓迎の挨拶をいただきました【写真15】。

 ディスカッションでは、ケイス中佐のCRNAとしての活動やUSNHでのCRNAの役割についてお話しを伺うとともに、意見交換を行いました【写真16】。【写真17】は、お土産に準備されていたよこすかクリームあんぱんとCRNAのバッジ&マグネットです。

 以前も(どこかで)報告させていただいた通り、米国看護師協会(ANA)は、2015年までにすべてのAdvanced Practice Nurses(APNs)の要件を博士課程修了としており、USNHでも2013年以降は看護学博士号などの博士課程修了者でないと採用しないことになったそうです。博士課程では、経営管理を中心としたマネジメントや教育などを中心としたカリキュラムが組まれており、ケイス中佐も博士課程への進学を予定しているそうです。

 USNHでのケイス中佐の業務は基本的に麻酔科医と全く同じであり、麻酔計画から麻酔管理まで単独で行っているとのことでした。海軍ではCRNA一人で乗船することも少なくなく、単独で麻酔提供を担うこともある...という特徴も踏まえているようでした。        (後編につづく)

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